長崎中材業務研究会

『 中材業務における質の向上と日常での不安や疑問点の解決の場所を提供する 』をもとに、セミナーを通じて皆さんと学び、意見・情報交換を行いたいと思っています。

第17回 長崎県中材業務研究会セミナー 質疑応答

17回 長崎県中材業務研究会セミナー
 
質疑応答
 
講義内容:「内視鏡外科手術器械の洗浄・滅菌と故障予防法」
 
『講義内容補足』
    使用後の光学視管やカメラヘッドは、出来るだけ他の器械と混ざらないようにしてください。一緒に運搬してしまうと、接触しレンズ割れやケーブル破損の原因となります。
②使用済みの器械は3時間以内に洗浄を開始してください。長時間放置すると汚れが固着し除去しにくく
なります。
③洗浄は分解できる部品は全て外して行ってください。オリンパスの器械に関しては浸漬洗浄を行って頂いて
構いません。その場合は浸漬時間(最大60分)だけ注意して下さい。
オリンパス器械以外の洗浄に関しては、施設で使用しているメーカーに確認をとってください。
④硬性鏡を長期間使用すると先端部、接合部が劣化し器械内部に湿気が入り易くなります。器械点検のときに
 目視でも構いませんのでスコープ内部が曇ったり濡れてないかチェックをお願いします。
 
質疑応答
 
Q1.講義資料に「洗浄後は滅菌水で洗浄液を洗い流してください。」とありますが、滅菌水じゃないと
  いけないのでしょうか?
 
A1. 水道水でも問題ない地域もありますが、それは施設ごとに水質検査を行って頂いて判断することになります。ですので、不純物や地域差(物質内容)を把握できない以上は滅菌水を使用して頂くよう推奨しています。
 
Q2.軟性のファイバースコープのレンズ面を、洗浄・乾燥後にアルコールで拭いていますが、アルコールで
 拭くと機器が傷んでしまいますか?
A2.オリンパスの器械に限って言えば、レンズやシステムガイドなどをアルコール清拭しても問題ありません。
但し、レンズの接合部(接着部)に対しての影響を懸念されているのかも知れませんので、その点に関しては確認しておきます。
 
Q3.エアトームなどに使用する潤滑剤は高圧蒸気滅菌時に付着していても問題ない、とされていますが、
  滅菌前に出来るだけ落とすように、とも書いてあります。どちらが本当ですか?
A3.潤滑油は高圧蒸気滅菌器対応のものであれば付着していても構いませんが周囲に残った不必要な分だけ
エアーガンなどで飛ばして頂ければ十分だと思います。他の器械にベタベタつかない程度であれば問題あり
ません。
 
Q4.高圧蒸気滅菌できるような軟性鏡は今後でてきますか?
A4.発売される可能性はありますが、当社(オリンパス)の場合は、カメラを開発するときにAC滅菌を前提として開発しているわけではなく、あくまでも機器の性能や使用感を重視して作っていますので、はっきりと発売しますとは言えません。
ディスカッション内容:「リース機器の取り扱い方法・注意点」
 
Q.リース機器を使用したあと、どのような状態でメーカーへ返却していますか?
A.    以下、各施設の解答
 
A病院
洗浄・消毒・乾燥までして返却しています。現在、滅菌工程まで要求されたことはない。
 
B病院
洗浄・消毒・乾燥までして返却しています。A病院と同様に滅菌まで要求されたことはありません。
 
C病院
使用前に一度洗浄し、使用後は洗浄・消毒・乾燥・滅菌までして返却しています。それが礼儀だと
思いますので。
 
〖考察〗
メーカーによっては、貸し出し器械を返却する前に滅菌を要求するところもあるが、施設ごとに洗浄レベル
が異なることを考えると、不十分な洗浄のあとに滅菌によって熱を加えることにより逆に汚れが固着してしまう可能性も考えられる。緊急時など、病院から病院へ器械を搬送する場合もあるため、今後何らかの問題が生じる可能性もある。
各メーカーと施設間とでチェックリストなどを作成し、実施レベルを統一するなどの対策を実施していくべきではないか。研究会に参加している施設(長崎県内)だけでも統一することができれば、今後リース器械を利用していく上でより安全に使用できるのではないかと考える。