長崎中材業務研究会

『 中材業務における質の向上と日常での不安や疑問点の解決の場所を提供する 』をもとに、セミナーを通じて皆さんと学び、意見・情報交換を行いたいと思っています。

第31回セミナー アンケートに頂いた質問への回答です。

第31回セミナー後のアンケートにて頂いた質問への回答です。
回答が遅くなり申し訳ありませんでした。ご参考頂けると幸いです。

「持ち手が木製のドライバーがあります。滅菌しているのですが、持ち手の木製の部分が変色しているようです。血液が完全にとれていない印象があります。他施設はどう処理しているでしょうか?」

ご質問ありがとうございます。
 「木製」という事ですが、ドライバーのメーカーが分かりましたら、お問い合わせ頂き材質をご確認下さい。手術器械のドライバーやノミのハンドル部分は通常、ベークライト樹脂が使われていますが、木材であれば手術器材としては不適正です。木材は多孔質であるため、手術時に付着した血液などの汚染を除去する事が難しく、洗浄不良、感染のリスクが高まります。また、洗浄剤などの薬剤残留のリスクも高まります。

 ベークライトは樹脂であるため、液体が染み込む事はないと考えられます。汚染が除去できていないと感じる場合は洗浄方法の見直しを行って頂ければ良いかと思います。私の勤務病院では汚染に応じて酵素洗剤で浸漬後洗浄し、ウォッシャーディスインフェクターに入れています。

 イメージ 1ベークライト樹脂は硬質ですが脆い一面もあり、耐衝撃性は高くなく、欠け、割れが生じることがあります。また耐熱性に優れていますが、長期間の使用により変色が生じます。状態に応じて修理や買い替えを考慮した方が良いと思います。
 
 
 
 その際、ハンドル部がベークライト樹脂ではなく、金属製のものや、一部メーカーではPEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)を使用したものもあります。ご使用のドライバーと互換したもので選択出来るようでしたらご参考下さい。
イメージ 2
上:PEEK樹脂  下:ベークライト樹脂  (写真はいずれもノミ)
 
 
文責:森野