長崎中材業務研究会

『 中材業務における質の向上と日常での不安や疑問点の解決の場所を提供する 』をもとに、セミナーを通じて皆さんと学び、意見・情報交換を行いたいと思っています。

感染管理認定看護師への道6

こんばんは。
ラソン後3日間乳酸蓄積でロボット状態だった峯です。
 
さて乳酸女だった3日間微生物学実習に行ってまいりました。研修の中でもこの3日間はとりわけ楽しいよっと教官からも聞いていたのでとっても楽しみにしていました。
 
塗抹・検鏡・寄生虫・菌の同定・感受性テストなど行いました
研究会の皆様も興味ある内容ではと思ったので沢山写真撮ってきました
 
まず1日目イメージ 1の塗抹(グラム染色)です。
これは私の班ののメンバーです。
自分の口の中の細菌をスワブで採取して、スライドガラスに塗り付け、乾燥後
メタノールで固定→水洗
②紫に染色→水洗
③アルコールで脱色→水洗
④赤に染色→水洗
⑤乾燥
この手順をやってるところです。
この後このスライドガラスを顕微鏡で100倍と1000倍で観察します。
 
イメージ 9
さて、私は相変わらず風邪症状があり咳がひどく、喉が痛かったので喉の奥から検体を採取していました。
左の写真は私の喉から取ったものです。
赤く染まっているのは扁平上皮です。咳のしすぎで偏平上皮が沢山はがれていました。
紫の粒粒がグラム陽性球菌です。(ちょっと桿菌気味に見えますが、球菌で間違いないそうです)
グラム染色では、グラム陽性菌が紫に、グラム陰性菌が赤く染まります。そして、丸いと球菌、長いと桿菌ということになります。
球菌には、形状からブドウ球菌、連鎖球菌、双球菌などがあります。
 
イメージ 13
 
グラム染色と検鏡が終わったら、明日へ向け培養です。血液寒天培地に菌を塗り付けとりあえず菌を育てるのです。
塗り方にもコツがあって単独のコロニーができるように塗り広げます。
これで24時間孵卵機で培養します。
何種類の菌が出るか結果はお楽しみです。
 
他にも選択培地という、特定の菌しか生えないように細工された培地があり、今回はMRSAしか生えないという選択培地も使ってみました。
 
 
さて、次は先生方が育ててくださった(培養)菌たちを観察しました。
イメージ 10今話題のアシネトバクターです。
これは多剤耐性のものではありません。
普通に水回りにいる環境菌だそうです。
健康な人には影響ありませんが、易感染者には悪さをすることもあるので、入院患者様全員に使用される鋼製小物の洗浄を扱っている中材では、責任重大ですね。シンクの清潔保持と一日一度の十分な乾燥、滅菌後の機材の取り扱い(交差感染に注意)、セミクリティカル物品の取り扱いなど、気を付けなければならないことが沢山あるなと感じました。
 
 
 
 
イメージ 11緑膿菌です。
言わずと知れたこれも水場に多い菌です。
アシネトバクター同様、中材では気を付けたい菌ですね。
これら菌の観察は、色、コロニーの大きさ・形、臭い、血液寒天培地の溶血の有無などをみていくのですが、どの菌もとにかく臭くてなりません。
私は何回もおえーってなりながら、咳き込みながら体験してきました。
細菌検査室っていつも臭いますよね。
検査技師の方は、あの匂いだけで何が生えたかわかるそうです。尊敬します。
 
 
二日目です。午前中は寄生虫の観察でした。
トリコモナスなどは動画で撮ってきて見せたかったのですが、カメラの技術が足りずできませんでした。
でもトリコモナスってぴちぴち動いてかわいかったですよ。赤痢アメーバもスライムのような動きでなかなかのかわいさでした。そうそう、赤痢アメーバを検出目的で便を取ったときは絶対に冷蔵庫に入れてはいけないそうです。あのスライムのような動きが寒くて止まってしまうそうです。もし夜中に採取しても翌朝まで常温ですね。
 
イメージ 12
 
これは蛔虫です。
くるっとまがっているほう(左)がオスで、このカーブでメスにまとわりつくそうです。
ちょっと写真が小さくて見えないかもしれませんが、オスのぐるぐるの先っちょから針のようなものが出ていて、それが生殖器になっているそうです。
 
長さは20カラ30センチぐらいでうどんくらいの太さでしたよ。
 
 
 
 
イメージ 14広節裂頭条虫(こうせつれっとうじょうちゅう)です。
サナダムシですね。
横線のところから一つ一つ節になっていて、実は一匹一匹がつながった状態になっているそうです。だから一つ一つにぽこっとしたふくらみがありますが、これが子宮で一日に100万個もの卵を産み落とすそうです。
長さは、最長10メートルにもなるそうです。
 
ナオミキャンベルがダイエットのため腸に飼っていたのがこの虫だそうです。
 
 
 
午後からは、昨日仕込んだ培地の観察です。
イメージ 15パームスタンプで自分たちの手をチェックしました。これはアルコール性擦式消毒剤を半プッシュした場合です。十分除菌できていないことが目で見てよくわかりました。
 
他にも、流水だけ、流水と石鹸、擦式消毒材を十分擦り込んだ場合、髪や顔などを触った手、マスクなしで咳をした手、手荒れのある手、などで実験しました。
 
 
 
 
 
イメージ 16普段使っているボールペンです。
スタンプ培養したら、やっばり生えてきました。
他にも、ストラップのぬいぐるみ、指輪、腕時計、パソコンのキーボードなども試しました。
それぞれ何かしら生えていましたが、写真が多すぎるので省きます。
 
結果が見たい方は、峯まで声をかけてください。
このような写真は院内勉強会などでも、視覚に訴える材料に良さそうですよね。
研究会のみなさんには、声をかけていただければ、データを出したいと思います。
 
 
3日目は真菌と午後からは菌の同定でした。

イメージ 2

真菌の写真からいきます。
 
これはお風呂の黒かびにいるやつです。
 
写真ではわからないかもしれませんが、とっても綺麗です。お花のようで、ガラス細工のようで。
 
ブローチにしたくなりました。
 
 
 
 
 
 
イメージ 3
 
よくエアコンの吹き出し口にいらっしゃるカビ
アスペルギルス フミガーツスです。
これもきれいですが、花の先から沢山粒粒が出ているのがわかると思います、これが胞子だそうです。
 
エアコンの掃除大切ですね。
 
 
 
 
 
 
イメージ 4
 
みかんにつく青かびです。
ペニシリウム属です。
1928年にフレミングがこのカビの中から抗生物質ペニシリンを見つけたそうです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 5
 
白癬です。
水虫です。
 
にょきにょき伸びる感じがかゆくなりますね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
最後は菌の同定と薬剤感受性テストです。
イメージ 6
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右のカラフルな写真は、菌の同定と、薬剤感受性テストさらに最少発育阻止濃度(MIC)がわかります。
左がディスク拡散法による薬剤感受性テストです。抗生剤を染み込ませたディスクを置いて一日培養し、ディスクの周りが透明になっているところが感受性がある証拠です。透明になったところの直径を図って判定します。全く反応していないディスクは耐性ということです。ちなみに、MRSAが左と上のシャーレでバンコマイシンだけが菌を溶かしています。
 
イメージ 8
最後まで読んでくださった方ありがとうございます。
とっても楽しい3日間でしたので、是非皆さんにもこの感動を伝えたく長くなってしまいました。
微生物って奥が深く難しいですが、今回の実習でまた少し好きになってきました。感染管理認定看護師には必要な知識であることもわかりました。
中材でも、洗浄・消毒・滅菌と、微生物とは切っても切れない作業をやっているので、またこれからも皆さんと一緒に勉強していきたいです。
 
セミナーで微生物学入れちゃいます???
藤原会長どうでしょうか?