第24回長崎中材業務研究会セミナーの開催・アンケート集計結果
第24回長崎中材業務研究会セミナーの開催&アンケート集計結果のご報告
3月12日(土)に第24回 長崎中材業務研究会セミナーを開催しました。
講演Ⅰは講師に城之内 幸宏先生〈サクラ精機(株)〉講演Ⅱは、坂田 辰男先生〈チヨダエレクトリック(株)〉をお迎えして講義をしていただきました。
城之内先生の講義は2015年に改定したガイドラインについて詳しく話をしていただきました。いつも扱っているディスポーザブルの製品はいろんな国で製造販売されています。しかし、どの製品も滅菌の品質は同じでなければなりません。どの国で製造されたとしても。滅菌の品質、つまり微生物が存在しない無菌状態である必要があります。無菌状態??って感じですが、製品上に存在する微生物の数が10⁻⁶以下、すなわち100万分の1以下になっている状態のことで、この条件をSAL:サル,無菌性保証水準というそうです。10⁻⁶とは滅菌物100万個中に1個、滅菌不良が発生するかもしれない確率で、菌は0(ゼロ)にはならない。それは菌数が絶対的にゼロになることを誰も証明することができないからだそうです。
そこで、BIやCI、物理的な要素、温度、圧力、根拠に基づいた総合的な要素により滅菌判定をすることが必要である。さらに洗浄をすることで10⁶を10³まで落とすことができ、そこから滅菌することで10⁻⁹まで菌数を減少させることができ確実なSALを達成することができる。安心・安全な滅菌供給を行う上で洗浄の大切さをあらためて感じました。
坂田先生の講義では高圧蒸気滅菌法について卓上型を主にした話でした。近年外科手術の発展に伴い大きく開ける開腹・開胸手術から、内視鏡手術などの低侵襲手術やロボット支援手術に変わってきている。手術が変わってくると、手術器具も変化し形状構造が複雑となり洗浄・滅菌不良を起こす可能性が高まる。クリニックや歯科においても、感染リスクの高い治療、確実な滅菌が必要な器械が多い。2014年に歯を削る機器7割が使い回しされているという報道がなされた。滅菌せずに使う理由として人手や費用がかかることがあげられている。しかしこの報道を受けて、日本歯科医師学会は院内感染対策と題してガイドラインを作成した。一般的に歯科やクリニック等には、主に卓上型高圧滅菌器を設置している。(卓上型の主流は重力置換式である。)重力置換は重力を利用して内釜の空気を排出するもので、歯科等で使うハンドピースなどの径の細長い機器の滅菌が不可能である。感染のリスクがあるということになる。ガイドラインを作成したが滅菌器の種類を示す法の規制がなく、メーカー側や施設側も安価な重力置換式の卓上型を設置してしまう傾向にある。しかし、近年では卓上型のプレバキューム式も開発が進み各メーカー販売をしている。今後は機器を販売する代理店・使用する施設も滅菌に対する知識を持ち滅菌の質を上げる必要がある。しかし費用がかかるので、なかなかクリニックや歯科での早期導入は厳しい面も多いと思いました。
高圧蒸気滅菌器の種類や特徴を把握して、滅菌器材の形状や使用方法に応じた方法を選ばなければならないことを学びました。
お二人の先生の話は、中材業務に従事しているものとして必ず知っておかないといけないことで、それを今回は学ぶことができました。先生方には、メーカー側として法の規制の働きかけにあわせて安価なプレバキューム式・卓上型高圧蒸気等の今後の発展に力を入れていただければと思います。年度末の3月でお忙しいところ、長崎での講義ありがとうございました。
報告者:役員 西山
第24回長崎中材業務研究会セミナーアンケート結果
参加人数48名 アンケート回収数37名 ※無回答は掲載していません。
1. あなたの施設のベッド数は?(回答数・%)
①入院ベッド無し(3名・8%) ②19床以下(0名) ③20~99床(3名・8%)
④100~199床(9名・24%) ⑤200床以上(22名・59%)
2. あなたの職種は次のうちどれですか。
①医師(0名) ②看護師(20名・54%) ➂看護助手(10名・27%)
④委託業者(6名・16%) ⑤その他(1名・3%)
3. 滅菌保証のガイドラインが昨年改定されたことについてお聞きします。
1) あなたの施設では、改定されたガイドラインを業務に取り入れていますか?
①はい(6名・16%) ②いいえ(19名・51%)
2) 3-1)の質問で、①とお応えいただいた方に質問します。どの改定を取りこまれましたか。(複数回答可)
①超音波洗浄機のバリデーション及び日常管理(1名・3%)
②内視鏡洗浄消毒装置のバリデーション及び日常管理 (0名)
③低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌における滅菌バリデーションおよび日常管理 (3名・8%)
④その他( )(0名)
3) 今後改善したいことがありますか?また講演1で役立ったこと・質問などもありましたら、ご記入ください。
・2015年のガイドラインがわかりやすく聞けて良かった。
・言葉をわかりやすく説明していただいた。
・滅菌保証について理解できた。
・滅菌・無菌の明確な定義を理解できた。
4. あなたの施設にあるオートクレーブについてお聞かせ下さい。
1) どのようなタイプのオートクレーブがありますか?(複数回答可)
①重力置換型(6名・16%) ②プレバキューム式(26名・70%)
③卓上型(重力式・プレバキューム式) (1名・3%) ④なし(0名)
2) 自施設の高圧蒸気滅菌は安全であると思いますか?
①はい(21名・57%) ②いいえ(0名) ③どちらとも言えない(1名・3%)
④わからない(10名・27%)
3) 4-2)で②➂とお答えになられた方にお聞きします。その理由はなぜですか?
⇒回答者なし
4) 今後改善したいことがありますか?また講演2で役立ったこと・質問などもありましたら、ご記入ください。
・小型の高圧蒸気滅菌機の特徴が聞けて良かった。
・職場で使用している滅菌機をもっと調べてみようと思った。
・難しい内容でしたが、わかりやすく説明してもらいました。
・自施設のオートクレーブの種類について理解できた。滅菌物を積載させすぎないようにしたいと思う。
4. 研究会に関するご意見、セミナーに関するご要望などありましたらご記入ください。
・開始時間を13時からにして欲しい。(3名回答)
※セミナーの様子です。