長崎中材業務研究会

『 中材業務における質の向上と日常での不安や疑問点の解決の場所を提供する 』をもとに、セミナーを通じて皆さんと学び、意見・情報交換を行いたいと思っています。

第30回長崎中材業務研究会セミナーを開催しました。

第30回長崎中材業務研究会セミナーを開催しました。

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   今回は第30回記念セミナーということで1日を通して多岐にわたる講師の講演を受講することで、多くの知識を得る事ができました。
江崎先生・日高先生の講演では、大学病院での専門業者による洗浄方法の実際を詳細に知ることができました。器械1つ1つを丁寧に扱い、適切な洗浄方法を行ったうえで、洗浄評価を行っていくことは病院の規模に関係なく共通であり大事なことだと感じました。
栗原先生の講演では滅菌の確認方法について学ぶことができました。洗浄は目視にて直接評価することができるが、滅菌は肉眼では見えない、微生物殺滅の確認を行わなけれればならない。そのためには、日常的に物理的インジケーター、化学的インジケーター、生物学的インジケーターを確認する必要がある。未滅菌のまま払いだされた事例も紹介された。私たちもこのようなことが起こらないように注意はしているが、ひとつひとつ確実にインジケーターを確認し、また、現場での使用する直前の最終確認も重要だと思いました。
江嶋先生の講演では普段から病棟・外来・手術室に払い出す器械や衛生材料を包装している滅菌バッグについて、そのしくみや管理方法に関して、初めて知る内容もありました。滅菌紙はコピー用紙などに使用されている上質紙とは異なる点が多々あるということである。微生物バリヤ性と適切な透気抵抗度を有し、適度な強度と硬さで作業性が良い。高圧蒸気滅菌にも耐えうる耐水性も付与されている。この特有な滅菌紙を用いて、ヒートシールや滅菌を確実に行い、適切な場所にて保管し、破損の有無を確認することで、滅菌物は安全に患者に使用されると実感しました。
 川上先生の講演では、トレーサビリティーについて詳しく知ることができました。トレーサビリティーは、追跡可能性と訳され履歴を記録し、確認できることである。5W1H(When:いつ、Where:どこで、Who:だれが、What:なにを、Why:どんな目的で、How:どのように)が基本であり、医薬品・インプラント血液製剤などに関しては確率されているが、再使用される医療器材のトレーサビリティーは困難な状況である。しかし、人命を預かる手術に使用する器材には高い安全性が求められ、患者情報を関連づけることが重要となっている。
当研究会より長崎県内で2施設目の導入であるLTSF滅菌器について発表を行った。LTSF導入の経緯、特徴、使用後の評価、問題点などを述べた。質疑応答では、使用している滅菌バッグの種類について問われた。導入して半年しか経過していないこと、長崎県内ではまだ数少ない滅菌器であることから、今後も機会があれば、発表を行っていきたいと思います。
四宮先生の特別講演では、病院における中材の役割・立ち位置など、同じ病院内でも実際に現場で働くスタッフ以外が、どのような方法・内容を行っているのか知り得ることはあまりない。しかし、院内の再処理器材を安全に処理し、患者へ提供できるか否かは、中材にかかっている。そのことを常日頃から念頭において、院内の安全に対する責任感を持ち、スキルアップに努めていきたいと思いました。

報告者:役員 田中