長崎中材業務研究会

『 中材業務における質の向上と日常での不安や疑問点の解決の場所を提供する 』をもとに、セミナーを通じて皆さんと学び、意見・情報交換を行いたいと思っています。

第12回長崎県南中材業務研究会セミナー・ディスカッション内容

ディスカッション内容
 
Q1.経管栄養のボトルやチューブはどのように消毒・保管したら良いでしょうか?
 
  現状 ➠ 患者さん個人用のボトルを作成。使用後は流水で洗浄後にミルトン等で浸漬消毒し、次に使用する時間まで吊り下げて乾燥させておく施設が多いようです。
 
  問題点 ➠・浸漬消毒を行う際に、チューブ内に空気溜まりが出来たり、ボトルが浮きあがってしまうと、十分な消毒効果が得られない。
       ・乾燥が不十分な場合、残った水滴に菌が繁殖してしまう。
 
  対策 ➠ 高カロリー輸液は栄養分が豊富なことから細菌が繁殖しやすい環境であるため、適切な消毒・ 管理が必要不可欠になります。
       
山口大学医学部付属病院・薬学部の神谷 晃先生、尾家 重治先生が書かれた「感染対策の基本と器具・器材消毒のポイント」の中に、経管栄養の消毒方法が記載されていましたので、対策案の一例として紹介します。
       
◇投与バッグ・チューブを繰り返し使用する場合、使用のつど水洗いと消毒が必要。
◇高濃度に微生物汚染を受けた経管栄養剤は、胃腸障害のみならず肺血症や肺炎などの原因になる。
◇経管栄養剤の微生物汚染の原因の一つが投与バッグ・チューブの微生物汚染である。
◇経管栄養剤が微生物汚染を受けると、その汚染菌は速やかに増殖する。
◇特に、バッグ型の投与容器やチューブは、洗浄や乾燥が行いにくいので、繰り返し使用で微生物汚染を受けやすい。
 
洗浄  バッグとチューブ内に水を通し、2~3回すすぐ。
 
消毒  0.0125%の次亜塩素酸ナトリウムに1時間以上浸漬する。
(チューブ内にシリンジなどで一度消毒液を通し、そのまま全体を浸ける。バッグ内、チューブ内に空気が残らないように注意する。)
 
保管  次に使うまで浸けたままにしておく。
※薬液の効果時間を考慮して、最大24hを限度とする。
(使用するときは消毒液をよく振り切ってから使う。次亜塩素酸ナトリウムは常温でも蒸発すると塩化ナトリウムだけ残るため人体には無害となります。)
 
まとめ 
・消毒後の乾燥をシンク回りなど水気のある場所で行ってしまうと、水滴が再付着し菌が繁殖してしまう恐れがあります。現在の乾燥場所が適切であるかもう一度確認しましょう。
・チューブの乾燥は吊り下げるだけでは時間もかかり、不十分なことがありま
す。エアーコンプレッサーなどの機械を導入検討してみるのも良いと思いま
す。(安価なものは1万円以内)
・頻回に大量の消毒液を使用する施設などは、消毒液の価格や、消毒に割く時間や人件費を考えてみた場合、単回使用のディスポ製品に変更した方が安価になることがあるそうです。
 
 
Q2.産科で使用している器材について、洗浄し管は洗浄・消毒、クスコは洗浄・滅菌を行っているのですが、間違いはないでしょうか?
 
産科用の洗浄し管とクスコは粘膜と接する器材であるため、スポルディング分類ではセミクリティカルとなり、洗浄後に高水準の消毒まで行えば良いことになっています。クスコは滅菌までされているということなので、現状で十分な処理が出来ているということで良いのではないでしょうか。
 
高水準消毒薬 
グルタルアルデヒド(グルタラール)
<製品名>ステリハイドなど。
 
オルトフタルアルデヒド(フタラール)
<製品名>ディスオーパ0.55%消毒液など。
 
過酢酸
<製品名>アセサイド0.35%など。
 
Q3.ネブライザーの消毒はどのようにしたら良いですか?
 
◇微生物汚染を受けたネブライザーは、患者の気管支や肺胞にエアロゾル
とともに大量の微生物を運ぶため、感染源となりやすい。
 
ネブライザーから高頻度に検出される汚染菌は、セパシア菌、セラチア菌
などのグラム陰性桿菌である。ネブライザーの消毒にはこれらの菌に有効な
消毒剤を用いる。
 
ネブライザーの洗浄と消毒は、患者ごとに行い、同一患者への使用では
24時間ごとに行う。
 
◎洗浄  
 薬液カップやチューブ類などの各パーツを取り外し、水洗いする。
      
[ジェットネブライザー]
 嘴管(しかん)を水洗いする。
 
◎消毒  
超音波ネブライザー・ジェットネブライザーともに、0.0125%の次亜塩素酸
ナトリウムに1時間浸漬する。消毒後の水洗いは、行っても行わなくても
どちらでも良い。
または、65℃・5分間または70℃・1分間の熱水消毒。結核患者が使用後の
嘴管は、煮沸消毒100℃・5分以上)が望ましい。
 
◎乾燥  食器乾燥機などを使用し、十分に乾燥させておく。
 
・問題点 
一般家庭用のネブライザーが普及し、自宅で吸入を行う患者が増えて
いるが、適切な消毒や管理できている人は限りなく少ない。吸入方法
だけでなく、自宅でのネブライザー管理についても指導していくこと
が必要になる。