長崎中材業務研究会

『 中材業務における質の向上と日常での不安や疑問点の解決の場所を提供する 』をもとに、セミナーを通じて皆さんと学び、意見・情報交換を行いたいと思っています。

第16回セミナーの質問&回答

<第16セミナーの質問&回答>
 
Q1.搬入器械はジェットウォッシャーで洗浄し滅菌して使用していますが、器械の数が少ない時や急いでいる時は、酵素洗浄剤の入った恒温槽に浸漬のみし流水下で洗浄し、滅菌して使用しています。それでも良いのでしょうか?
また、体内に入る未滅菌で搬入されるインプラントも洗浄し滅菌した方が良いのでしょうか?
 
A1.器械の構造によって違いますが、単純な形のものは恒温槽への浸漬だけでも効果はあると思います。内腔のあるものは十分に水を通すことが大事です。器械の形状・材質によっても異なりますのでメーカーさんに確認することも重要です。また、洗浄や濯ぎにはRO水(純水)を使用し、ミネラルなどの付着を避けることも必要です。
どうしても洗浄できない時は器械組の際、手袋を使用し触るようにするなど工夫し、なるべく汚染させないようにすることも方法の1つかと思います。
  インプラントも同様です。メーカーさんも洗浄してはいるかと思いますが、搬入時に汚染する可能性もあるので洗浄は必要だと思います。
 
 ※酵素系洗剤を使用した恒温槽での洗浄は、浸漬時間、洗剤の濃度や温度、濯ぎが大切です。各施設でしっかりとしたマニュアルを作り作業者間での差がないように行って下さい。
  できれば、時間があるときに、洗剤メーカーさんにお願いして日常工程での洗浄した対象物の洗浄評価を行われることをおすすめします。
 
Q2AC滅菌する時、外筒・内筒とある物は組み立てて滅菌しているのですが、組み立てない方が蒸気が入り効果的な気がするのですがどうでしょうか?
 
A2.蒸気は思っているよりも粒子が小さく、小さな隙間へも入っていくので組立てて良いです。ただし、外筒・内筒を水漏れしないようになどシリコンやゴム栓がついているものは、密着させないように少しズラして組み立てなければ蒸気が通らず滅菌できないので注意が必要です。組み立てることで、内筒の体表・外筒の内側にとっては、お互いが触れ合っている部分が触れる蒸気の量が増えるため、より効果的なものもあります。
  また、プレバキューム式の滅菌器の場合は、十分に蒸気が通っていくためにはパルス(真空引き)になることが重要です。工程記録を見て真空引きが3回なっていることも確認してみて下さい。
  
 
Q3.病棟の器械と手術室の器械の洗浄はシンクやスポンジは分けた方が良いのでしょうか?
 
A3.感染上ではスタンダードプリコーションに基づき分けなくて良いです。ただし、器械が混在して払い出しにくいなどがあれば分けても良いと思います。
 
 
Q4.超音波洗浄器での洗浄の時、効果的な器械の配置の仕方はありますか?
 
A4.器械同士が重なり合わずにキャビテーションが届けばどのようにでも良いと思います。よって、コップのような構造のものは横向きに置いた方が良いと思います。下向きに置くと内側が洗浄できず、上向きに置くと底が洗浄できない状態になってしまいます。超音波のあたる所しか洗浄できないため、洗浄器自体に触れないよう浮かせて置く工夫が必要です。小さなものは茶コシなどを利用していれることもおすすめです。
 
 
Q5.器械はタオルドライと高温乾燥機での乾燥とではどちらが良いでしょうか?
 
A5.十分に乾燥すればどちらでも構わないと思います。ただし、タオルドライは不織布は良いのですが、綿素材などは拭く時に繊維が付着する可能性もあるので不向きだと思います。また、タオル自体の洗濯・保存・使用可な回数などは判断が難しいと思います。3Mさんに専用のものの取り扱いもあるので相談してみるのも1つの手かと思います。乾燥には他にもエアーガンの使用もおすすめです。
コンプレッサーはホームセンターでも取り扱いがあります。