長崎中材業務研究会

『 中材業務における質の向上と日常での不安や疑問点の解決の場所を提供する 』をもとに、セミナーを通じて皆さんと学び、意見・情報交換を行いたいと思っています。

第1回 長崎県南県北中材業務研究会質疑応答

 日中はまだ暖かいですが、朝晩はだいぶ寒くなってきましたね。
遅くなりましたが第1回 長崎県南県北中材業務研究会の質疑応答のまとめです。
※明日は第17回中材業務研究会セミナーを開催いたします。まだ申し込みをされて
ない方も当日参加OKです。皆様の参加お待ちしております。
 
 
長崎県中材研究会 質疑応答
 
 
【洗浄】
Q1.病院の方針でOマスク(チューブ)、導尿カテーテルなどを中性洗剤で手洗い後、コンクノール希釈液、次亜塩素酸ナトリウムなどに浸漬消毒し、EOG滅菌していますが、チューブの中に汚れが残留してしまうことが多々あります。何か良い洗浄方法はありますか?
また、使用済みチューブのEOG滅菌は効果があるのでしょうか?
 
A1.マスクとチューブですが、滅菌までされるのでしたら消毒は必要ありません。
導尿カテーテルは再利用せずディスポに変更してください。洗浄にかかる人件費や洗剤費、EOGもコストがかかりますので、ディスポに変更してもそれらで十分に補えることが多々あります。
なによりも事故が起きては大変ですので、ディスポへの変更を推奨します。
※導尿カテーテルは材質により、汚れが吸着しやすく洗浄困難なものがあります。
 
Q2.ガラス類の洗浄は中性洗剤が最も適しているのでしょうか?また洗浄方法としては何が
最適なのでしょうか?
 
A2.中性洗剤がガラスを傷めにくいので擁護的に洗うという意味ではベストだと思います。
  ただアルカリ洗剤よりは洗浄力が落ちますので、注射器の汚れ具合をみてから判断される
  方が良いかと思います。
 
Q3.耳鼻科で使用する噴霧器(プラスチック)、薬瓶(ガラス)シャーレ(ガラス)
  浣腸器(ガラス)をアルカリ性洗剤で洗浄していますが大丈夫でしょうか?
 
A3.プラスチックの種類によってはアルカリ洗浄剤で稀にクラック(割れ)するものがあります
ので、そこだけ確認して頂いて問題なければ現状で良いと思います。
※ガラス製のものは透明のものがすりガラス状にくもってくるので注意が必要です。
 
Q4.舌圧子をWDや超音波洗浄器にて洗浄後に白い付着物が残っていることがあります。すすぎはRO水を使用しています。原因は何か考えられますか?(洗剤はアルカリ、温度92℃)
 
A4.その条件だと工程自体に問題はなさそうですが、その白い付着物(成分)が何かを調べてもらって下さい。また、器械が正常に動いているのか一度メーカーに相談して器械点検を行って下さい。
※原因がリンス剤の場合は製品の交換も考えて下さい。
 
 
 
 
Q5.WDについて、濯ぎ水は水道と繋がっているが水道水のすすぎは良くないと、ある研修で聞きました。それはなぜですか?
 
A5. 水道水には有機物がたくさん含まれています。その中には蛇口回りなどに付着しているシリカ(二酸化ケイ素)などもあります。洗浄の段階では水道水でOKですが、濯ぎではそういったものを取り除き器材への付着を防ぐために少なくとも最終濯ぎにはRO水使用を推奨されています。
 
Q6.管状器械の洗浄評価はどのようにしたらよいでしょうか?
 
A6.ナイスチェック(管状器具残留蛋白チェック)などを用いて定期的に評価を行って下さい。
  オキシドールを通して泡が出れば蛋白が残っている証拠なので、短い管状の物であれば簡易
  チェックの方法として試してみるのも良いかも知れません。
 
 
Q7.洗浄評価はどのくらいの頻度で行えば良いのでしょうか?
 
A7.目視確認は毎回行って頂いて、インジケーターによるチェックは最低でも年に1回、設定の変更などを行った場合にはその都度実施することを推奨しています。
 
Q8.整形外科で使用するリーマー(フレキシブルリーマーなど)や中腔になっている器材の効果的な洗浄方法について教えて下さい。
 
A8.メーカーに確認してください。販売したメーカーは器材の洗浄や滅菌の適切な方法を理解して
いる必要があると考えます。
※現状ではフレキシブルリーマー(形状が複雑なため)の洗浄は難しいようです。できればディスポの活用を考えてみてください。
 
Q9.搬入器械の乾燥不良が発生した場合、特に特殊ケースの場合(3段ケースなど)の乾燥不良が多いです。みなさまの施設ではどのようにされていますか?
 
A9. コンテナやケースの下に布を敷くなど乾燥を促進させるような対策が考えられますが、リース器械の場合はそのメーカーに適切な滅菌方法の確認をとるのが確実だと思います。
※一滅菌包の限界重量は78kgと言われていますので分包を考えてみてください。
 
Q10.中材に回収された器材に錆の発生が多い。防止に効果的な方法を教えて下さい。
 
A10. 洗浄剤メーカーが出されている予備洗浄スプレーを使用する方法がありますが、たくさん血液が付着しているものや食塩水を使用していたり、もともと器材に傷が入っていて錆の原因になることもあるので器材の確認もしてみてください。
※洗浄剤や血液は錆を発生させやすいので、予備スプレーを使用しない場合は曝露注意しながら
流水で流して提出してみては
 
Q11.一次洗浄を禁止していますが、病棟に使用した器械は一日置いていても良いですか?
 
A.11. 蓋付きの密封した回収ボックスに入れて感染・乾燥固着を考慮した方法ならば問題ないです。
 
 
【滅菌】
 
Q1.滅菌物をパックするときに、ヒートシールがきちんと密着しているか確認する方法はありますか?適宜確認できる方法があればより良いです。
 
A1.確認する方法としてテストパック(紙面が黒色)があります。
 
シールインクは両面ビニールの場合は問題ないのですが、片側が紙の時は紙がインクを吸収
してしまうことがありますので慎重に行ってください。
   また、メーカーに依頼して定期的にシール強度を測定してもらうなどシーラー本体の点検も
有効です。現在、卓上で使用できるシール強度を測定する器械(卓上装置)を開発中ですので、そちらを検討されても良いと思います。(ホギメディカル
 
Q2. ボウィーディックテストは暖気運転後に行うように聞きましたが、それはなぜでしょうか?
 
A4. ボウィーディックテスト(1343.5分)は設定温度に達するまでの所要時間に影響されます。テストパックを設置するドア付近は温度上昇しにくいところでもあり、事前に釜を温めることが大切です。
※暖機運転をおこなわずに試験すると,本来は不合格となる場合であっても合格となるなど,試験結果の信頼性が損なわれる可能性があるので,試験は暖機運転後におこなう。(医療現場における滅菌保証のガイドライン 2010より)
 
Q3. ボウィーディックテストに適応しない古いACの場合は、どのようにチェックを行えば良い
  でしょうか?
 
A3.滅菌を行う際に滅菌インジケーターを用いて、滅菌状態が厳しいときには適宜チェックを
  行うようにしてください。また、本当にボウィーディックテストが出来ないのかACメーカー
  へ確認してください。
  ボウィーディックテストは古いACというよりもお使いのACがパルス真空方式か重力置換
方式なのかで違ってきます。
※ボウィーディックテストは高圧蒸気滅菌器の空気排除の適格性を確認するもので、滅菌不良
となる原因を早期に発見できるもので滅菌装置の保守管理に使用されている。
※お使いのACがボウィーディックテストに適応しない場合は、CI・BIで最終確認をお願い
します。
Q4.コンテナで滅菌したシャーレなどに水分が残っている場合があります。
 これは手術に使用しても問題ないのでしょうか?
 
A4.滅菌状態を確認することができませんので、不潔と判断し手術では使用しないで下さい。
 ※水分が残らないよう乾燥をしっかりとできる工夫を行って下さい。
 
Q5.洗浄不足による異物の残存が炎症発熱などを引き起こすことは理解していますが、AC中に器材に発生してしまった錆はどのような悪影響が発生するのでしょうか?
 
A5.実際に錆のある器材を眼科で使用し、失明したという報告があります。絶対に使用しないで
下さい。錆がでた場合は器械錆なのかACからの錆なのかも併せてチェックを行って下さい。
 
Q6.ACの記録用紙は切り貼りせずにそのまま保管していますが、切り離してノートなどに貼った方がいいのでしょうか?また保管期間は決まっていますか?
 
A6.滅菌毎に日付や内容物を記載し残した方が、継時的に経過をみることができるので
トラブルの早期発見や、問題点を見つけるのに役立ちます。
保管期間ですが、法律的な規定はありません。一般的に35年保存している施設が多いようです。
※理由として法律的にカルテの保存期間に合わせて5年と決めている。カルテ以外は3年なので3